会社には『持株会』と『財形貯蓄』という制度があります。
入社時に加入を勧められた方も多いのではないでしょうか。
これらは社員特権の制度であり、魅力的に感じるかもしれません。
しかし、持株会も財形貯蓄も利用すべきではありません。
この記事では持株会と財形貯蓄かなぜ不要なのかを解説します。
脱社畜を目指す考え方のヒントになれば幸いです。
持株会とは
持株会とは、社員が自社株式を取得するにあたり、拠出した資金を企業が給与から控除してくれたり、補助金を支給してくれたりと、社員が自社株を取得しやすい環境を設け、財産の形成を助成してくれる制度です。
社員が株を購入するための資金は、給与天引きにより捻出するのが一般的です。
持株会のメリット
持株会制度を利用することによるメリットを解説します。
市場より安く買える
持株会で自社株を購入する際は、企業がその資金の一部を肩代わりしてくれます。
具体的には、購入に要した費用の1割を別途支給する、市場の株価の1割引で購入できる、といった内容です。
これにより、株を購入した時点で実質的に含み益が発生していることになります。
少額で購入できる
通常、株式の売買には単元株という制度があります。
これは、100株や1,000株など、株式売買には一定株数を1単位として売買をおこなう制度です。
例えば、現在の株価が5,000円、単元株が100株の場合の最低購入資金は500,000円となり、株式市場で売買をする場合はある程度まとまった金額が必要なことがわかります。
単元未満株式という少額で売買する方法もありますが、通常より手数料が割高になるといったデメリットもあります。
一方、持株会であれば手数料を要さずに少額から購入可能です。
財形貯蓄とは
財形貯蓄とは、給与の天引きにより貯蓄をする制度です。
毎月の給与から一定の額を事前に天引きし、社員に代わり会社が指定の金融機関に払い込みをするという仕組みで社員の資産形成を支援する制度です。
通常の銀行預金と同様、積み立てたお金に対して利息収入が発生します。
財形貯蓄は資金の用途によって以下の種類に分類されます。
- 一般財形貯蓄:用途制限なし
- 財形年金貯蓄:老後資金のため
- 財形住宅貯蓄:住宅取得のため
財形貯蓄のメリット
財形貯蓄制度を利用することによるメリットを解説します。
強制的に貯蓄ができる
財形貯蓄を利用すると、その額が給与支給のタイミングで自動天引きされます。
強制的に貯蓄がされるため、口座残高があるからついつい使ってしまうという事態を防ぐことが可能です。
意思が弱い人にとって、お金の無駄遣いを防ぐ仕組みが形成されています。
利子が非課税
財形貯蓄は通常の預金と同様、利息が発生します。
利息収入は本来課税対象となるものですが、財形貯蓄には非課税の優遇措置が適用されます。
ただし、一般財形貯蓄にこの適用はなく、非課税対象となるのは財形年金貯蓄と財形住宅貯蓄のみです。
また、非課税枠は元利合計で550万円までという定めがあることも覚えておきましょう。
何故持株会と財形貯蓄は不要なのか
ここまで解説したように、持株会にしろ財形貯蓄にしろ、良いことばかりのように感じるかもしれません。
しかし、冒頭申し上げたようにこの記事では持株会も財形貯蓄もおすすめはしません。
その理由を解説します。
リスク分散ができない
企業で働くということは、あなたという労働資本が会社に依存していることを意味します。
そこへさらに持株会を通じて自社の株式を購入するという行為は、労働資本だけでなく金融資本までもその会社に依存することになります。
万が一会社経営が危うくなった場合、給与と株価の双方にダメージを負ってしまいます。
資産運用においてリスクコントロールをするにあたり、最も重要なことはリスクを分散することです。
持株会に加入することにより、自分の資産をその会社に集中的に投資していることになるため注意が必要です。
体もお金も会社に依存する、「社畜の極み」「社畜OF社畜」になってはいけません。
売りたい時に売れない
持株会にしかり財形貯蓄にしかり、換金性は低いです。
現金化をしたい場合は、会社や所定の証券会社を通じて売却の申請手続きが必要になります。
この手続きには一定の時間がかかり、長い場合では数週間を要します。
また、持株会の場合は心理的に売却がしにくいです。
勤めている会社の株式を売却する行為は、見る人から見れば愛社精神がないと受け取られてしまいます。
解約の申請には上司や人事部・総務部などを通じておこなう必要があるため、周囲の目線を気にする性格の方は解約時に無駄なエネルギーを使うことになります。
手続きが面倒
換金性の低さに通じる内容になりますが、解約や売却時に伴う手続きが面倒です。
換金の手続きが面倒だからこそ強制的な貯蓄につながる、という意見も実際にあります。
しかし、強制的に貯蓄しなければお金を貯められないなどという人は、結局のところ何をしてもあまり効果がありません。
実際に私自身、若手の頃は財形貯蓄をしていましたが、目先の遊ぶお金が足りないときは財形貯蓄の解約をしたことがありました。
換金への抑止力を少しでも働かせたい場合は、定期預金にしたり、生活資金用の銀行口座と貯蓄用の銀行口座を分けるなど、ちょっとした工夫をするだけで一定の効果があります。
わざわざ手続きが面倒な制度を使う必要はありません。
会社への依存度を減らそう
持株会にも財形貯蓄にもメリットがあるため、制度自体を真っ向から否定するわけではありません。
しかし、社畜ライフを抜け出したい人にとっては会社への依存度を下げる必要があります。
生殺与奪を会社に握られている以上、社畜からは抜け出せません。
愛社精神など不要です。
会社への依存度を極力減らし、社畜ライフを脱出する準備をしましょう!
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