日々の報連相やプレゼンの場など、働く上では説明責任を求められる場が必ずあります。
しかし、伝えたいことがうまく伝わらないといった経験は誰しもが一度は経験したことのある悩みだと思います。
「お前の言ってることはよくわからない」と上司に言われたら辛いですよね。
私も昔はよく言われました。
ビジネスマンにとって、説明が下手で得することは何もありません。
この記事では、上手に伝えるための具体的な方法と、説明下手な人に知ってほしい心構えについて解説します。
説明が下手な人の特徴
説明が下手な人には以下に挙げる特徴があります。
それぞれの特徴について解説しますので、自分に当てはまる内容がないかをご確認ください。
話の要点がまとまっていない
話の内容がまとまっていないと相手には伝わりません。
説明する側はあれも伝えたい、これも伝えたいと気持ちが先走り、頭に思い浮かんだ言葉を次々と発してしまいがちです。
この状態は説明者自身が何を伝えたいのか思考が整理されていないことが考えられます。
人に説明をする際は何を伝えたいのか、目的を明確にしなければなりません。
自分目線で話す
説明する側とされる側が持っている情報量は同じではありません。
しかし、説明が下手な人は相手への配慮が不足しがちです。
例えば、「〇〇社の窓口担当△△さんの件について」というような説明を上司にする場合、自分は△△さんのことをよく知っていたとしても、上司が同じだけの情報量を持っているとは限りません。
説明をする際は、聞き手がどれだけの情報や知識レベルがあるのかを察知し、説明のレベル感をコントロールする必要があります。
具体性がない
説明は具体的であればあるほど伝わりやすくなります。
根拠のない感覚的・定性的な情報よりも、数値を使った定量的な情報が多ければ多いほど、説明の内容は明瞭的です。
また、抽象的・概念的な話ばかりだと主張したいことは伝わりません。
「あの時の、例の件」などという言葉は極力使わず、情報はできる限り具体的に、かつ丁寧に伝えることを心がけるといいです。
説明が下手なことによるデメリット
説明が下手なことによる損失は大きいです。
説明が下手なことによるデメリットは様々ですが、代表的なものを以下に挙げます。
伝えたいことが伝わらない
説明が下手だと自分が意図していることが聞き手に十分に伝わっていない可能性があります。
自分が伝えたつもりになっても、聞き手の解釈は異なっているかもしれません。
重要な案件で認識の齟齬が発生していると、後々取り返しのつかないことになりかねないため注意が必要です。
仕事ができない人と思われる
説明が下手なことはコミュニケーション力が低いことと同義です。
ビジネスにおいてコミュニケーションスキルは必須であることから、説明が下手だと仕事ができない人と認識されてしまう可能性があります。
イライラする・される
自分の伝えたいことが思うように伝わらないとイライラが募ります。
また、聞き手も同様に、説明を聞いても何を言ってるのかわからないとイライラしてしまいます。
説明が下手なことは自分にとっても相手にとっても余計なストレスになりかねません。
上手な伝え方とは
どうすれば自分の伝えたいことを正しく伝えることができるのでしょうか。
聞き手に自分の意図していることを正確に伝えるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
結論から話す
結論から話すことが大事というのは一度は聞いたことがあるかもしれません。以下に例を挙げます。
「〇〇社に当社製品Aを紹介しました。反応としてはまずまずだったので、価格面についても訴求しました。しかし、今年度の予算をオーバーするとのことで今回は見送ることとなりました」
これに対し、結論から話す場合は以下のイメージです。
「〇〇社に当社製品Aを紹介しましたが、今回は見送ることとなりました。理由は今年度の予算を超えてしまうため、価格面で折り合いがつかなかったためです」
聞き手として第一に確認したいことは結論です。
意識しないと慣れるまでは難しいですが、常に結論から話すことを意識して徐々に慣れるようにしましょう。
話す目的を明確にする
話す内容の主旨を事前に自分の中で整理するようにしましょう。
説明が下手な人は自分の頭の中で咀嚼ができないまま説明に臨んでいると考えられます。
話す目的は〇〇、その目的を伝えるための補足事項として△△というように、話す内容の全体像をあらかじめ整理しておくことが大事です。
話す順番を整理する
先に述べた結論から話す、話す目的を明確にすることを踏まえ、説明の順番を整理するようにしましょう。
始めに結論を述べた後、その後に話す内容はどうすべきか、自分の中でストーリーを構築してから説明の場に臨むことで改善が見込めます。
詳細について次の章で解説します。
説明が上手くなるフレームワーク
説明が上手くなる、わかりやすく伝えるための手法については、フレームワークとして定められた型があります。
ここでは代表的なフレームワークであるPREP法、SDS法という2つのフレームワークについて紹介します。
PREP法
PREPとは以下の頭文字を意味しています。
- Point:結論
- Reason:結論の理由
- Example:理由に説得力を持たせるための具体例
- Point:結論
結論から話すことの重要性は先に述べた通りです。
その後に結論に至った根拠を提示し、最後にもう一度結論を伝えることで印象に残りやすいという説明の手段です。
PREP法を使った文章例として、部下が上司に対して社内システムの導入提案をしているシチュエーションを想定して解説しますのでご参考ください。
- Point
高性能だが導入コストが高いA製品と、コストは安価だが性能としては平凡なB製品について、B製品の導入を検討したいと考えます。
- Reason
その理由は、A製品は当社にとってオーバースペックだと考えるからです。
- Example
実際、以前に導入したシステムも多様な機能を備えていますが、当社ではITに強い社員がいないため、使いこなすことができずに宝の持ち腐れとなっています。
- Point
今回も同じパターンが想定されることから、性能よりも価格面を重視したB製品がいいと考えます。
SDS法
SDSとは以下の頭文字を意味しています。
- Summary:要点
- Details:詳細
- Summary:要点
PREP法と同様、主張したい要点の部分を最初と最後に伝えるという点について大きな違いはありません。
文章例をPREP法と同じシチュエーションを想定して解説しますのでご参照ください。
- Summary
高性能だが導入コストが高いA製品と、コストは安価だが性能としては平凡なB製品について、B製品の導入検討を進めたいと考えます。
- Details
A製品とB製品を比較検討し、確かにA製品は様々な機能が備わっており、使いこなすことができれば当社の生産性は向上すると考えます。
しかし、機能が複雑なため当社で使いこなすことは難しいと思われます。
一方、B製品については必要最低限の機能しか備わっていませんが、当社のITスキルでは十分な内容で、かつコストが安価であることも魅力的です。
- Summary
以上の理由により、B製品の導入を進めたいと考えます。
伝わらないのは誰のせい?
さて、ここまで説明が上手くなる方法を解説してきました。
ここで考えてみてほしいことがあります。
聞き手に伝わらないのは伝える側に全ての責任があるのでしょうか。
聞き手の理解力が不足しているということも考えられるのではないでしょうか。
もちろん、上手に説明ができるに越したことはありません。
しかし、聞き手にも問題があることは否定できません。
相手に意図したことが伝わらなかったとしても、「自分の意図が思うように伝わらなかったのは私の説明が下手なせいだ」などと自己否定に走るのではなく、「せっかくわかりやすく説明してあげたのに理解力の乏しい人だな」くらいに思うようにしたほうが気が楽です。
伝えることは大事なことですが、伝わらないことを過度に責任を感じる必要はありません。
説明力はビジネスに求められる最重要スキル
昨今のビジネスはルーティン業務が減りつつある一方で、プロジェクト形式の業務が増えています。
これはビジネス環境が変化する中で、柔軟かつスピード感をもって対応することが求められるようになっているからです。
プロジェクトを推進する上で、メンバー間のコミュニケーション、ステークホルダーとの交渉やレポートなど、説明をする力はあらゆる場面で必要になります。
また、今後AIが普及していく中で、いかにAIに対して具体的な指示を下すことができるのかも重要になるでしょう。
先に紹介したフレームワークを参考いただき、説明する力を身に付けてください。
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