インターネットやAIの普及により、社会は急速に変容を遂げています。
仕事にも変化への柔軟な対応とスピード感が求められていることから、学び直しを意味する『リスキリング』に注目が集まっています。
リスキリングでスキルを向上し、自分の市場価値を高めることは会社員として様々な場面で有利に働きます。
定年まで会社にしがみつきたい、転職したい、今の自分のスキルでは将来が不安だと感じている人は、この読んでいただき、リスキリングへの理解を深めていただければと思います。
リスキリングの目的
リスキリングは社会の変化に対応するための知識や技術を学び直すことを意味します。
企業は従業員にリスキリングを促すことで、以下に示すような企業価値の向上を目指すことを目的としています。
人材育成
DX(デジタルトランスフォーメーション)に関心が集まっているように、ビジネスにはITの利活用が必須の時代です。
しかし、デジタルに疎い人は多く、デジタル人材の育成が急務となっています。
リスキリングによりDX人材の育成が期待されています。
DX人材の育成により、新しいアイデア発掘や価値創出の期待、そしてそれに伴う市場競争力の強化を企業は求めています。
生産性向上
従業員のスキルが向上することで、生産性の向上や業務の効率化を図れます。
ワークライフバランス、リモートワークによる働き方の変化に関心が集まる中、リスキリングにより従業員の働き方改革や満足度向上につながることが期待されています。
リスキリングが注目を集めている理由
リスキリングに注文が集まっている理由は、DXへの関心や働き方の変化だけではありません。
以下に示すように、会社が従業員を守ってくれる時代ではなくなっていることも背景にあります。
政府による支援
リスキリングの推進を政府も後押ししています。
リスキリングに積極的な企業に対して支援金を投入するといった方針を掲げることで、企業の成長に伴い、日本経済を活性化することを目指しています。
終身雇用の限界
これまでの日本は終身雇用が当たり前でしたが、今はそのような時代ではなくなりました。
過去に某企業の社長が45歳定年説というものを掲げ、波紋を呼んだことがありました。
実際に45歳で定年させるということを意図したわけではありませんが、それだけ社会情勢が変化していることを意味します。
このような発言を受け、新しいスキルを身に付ける必要があるという危機感が少しずつ芽生えていると考えられます。
副業の推奨
終身雇用限界の話とつながる内容ですが、国や企業が副業を推奨しています。
副業をするためには新しい知識が求められることから、リスキリングのような学び直しに関心が集まる要因となっています。
リスキリングのメリット
リスキリングは企業だけでなく、働く個人にとっても様々なメリットがあります。
スキルアップできる
リスキリングにより個人の能力向上、スキルアップが期待できます。
通常、個人のスキルアップを図るためには研修の受講料や教材費など、一定の費用が伴います。
しかし、リスキリングは会社が提供してくれる学びの機会であるため、費用面に関しての心配はいりません。
無料で学べる絶好の機会です。
資格の取得につながる
スキルアップと並行し、有益な資格取得も可能です。
資格はある種の身分証明書のようなものであり、その内容によっては持っているだけで箔が付きます。
資格の取得により、他者との差別化を図れます。
転職に活かせる
スキルアップや資格の取得を転職に活かすこともできます。
リスキリングの後に転職をすることは、会社にとっての裏切り行為のように思えます。
しかし、会社があなたを守ってくれない以上、従業員側も会社に尽くす義理はありません。
会社の制度を有効活用し、あなた自身のキャリアを最優先に考えてください。
リスキリングで学ぶべき分野
リスキリングといっても、何を学べばいいのか迷う方もいるかもしれません。
学ぶべき分野、知識を3つ紹介します。
ITに関する知識
ITの利活用が今後のビジネスには必須であることを説明しました。
これらITを駆使するための知識を学べば活躍の幅が大きく広がります。
DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する知識、ITプロジェクト統括業務、ChatGPTといった生成AIなど、学ぶべき内容は多岐に渡ります。
お金に関する知識
お金に関する知識もビジネスには貴重です。
会計の知識、金融の知識などは不変的な部分も多く、一度理解してしまえば長く活用できるスキルです。
法律に関する知識
ビジネスを推進する上では法律を無視することはできません。
しかし、法律は言葉の複雑さにより理解が難しいだけでなく、個人によって解釈の違いが生じるなど、食わず嫌いの人が多い分野です。
だからこそライバルが少ないため、法律の知識を得ることにより方々で活躍の機会があります。
リスキリングで取得すべき資格
箔を付けるためにも、せっかくリスキリングをしたのであれば資格の取得もしておくべきです。
しかし、税理士や公認会計士、MBAなどは理想ですが、取得は非常にハードルが高いです。
そこで、有益かつ取得難易度を少し下げた資格を2つ紹介します。
簡単な内容ではありませんが、頑張れば手が届き、幅広く仕事にも活かせます。
なお、資格については以下の記事もご参考ください。
中小企業診断士
中小企業診断士とは、企業の経営状況を診断し、課題解決や成長戦略についての助言をおこなう専門家で、国家資格に該当します。
経営コンサルティング、経営企画や事業開発部門など、幅広い業種で生かせる資格です。
宅地建物取引士(宅建)
宅地建物取引士とは、不動産の取引の専門家です。
不動産を扱う企業には5人に1人以上の宅建有資格者を配置する義務があることから、独占業務資格に該当し、希少性のある資格です。
また、この資格は不動産業の他にも、住宅ローンを扱う金融業や住宅販売を担う建築業、出店戦略や店舗管理が重要な小売業など、多業種に渡り活躍の場が設けられています。
取得しても業務に活かしにくい資格
一方、取得を推奨しないわけではありませんが、業務に活かせない資格もあります。
私自身が経験した、実際に取得してもあまり役に立たなかった資格を紹介します。
ITパスポート
ITに関する知識が重要であると解説しましたが、ITパスポートはその中で最も取得難易度の低い資格と言えます。
実務で活かせる程の内容ではなく、簡単に取得できてしまう資格のため、箔の付きにくい資格です。
ITの資格を取得するなら、ITパスポートの上位互換資格である基本情報技術者を最低でも目指すべきです。
ITパスポートはそのためのステップ程度と捉えておくといいでしょう。
MOS(マイクロソフト・オフィス・スペシャリスト)
WordやExcelの基本的知識を習得できる資格です。
しかし、残念ながら実務に活かしきれない内容となっています。
それよりも、1つでも多くのExcel関数やマクロを理解したほうがいいです。
特に関数については、2つ以上の関数を組み合わせるというスキルを身に付けることをお薦めします。
例えば、VLOOK関数とIF関数の組み合わせ、SUMIF関数とMATCH関数の組み合わせなどを理解することで、業務の仕組み化と効率化につながり、周囲から重宝される人材になれます。
簿記3級
会計の勉強の登竜門とも言える簿記は、取得しておいて損はありません。
しかし、3級は基本的な内容に終始しているため、3級の取得で満足してはいけません。
実務に活かせる知識の習得、および箔を付けるために、最低でも2級以上を目指しましょう。
FP
お金に対する理解を深めるという意味では取得して損のない資格です。
しかし、FP自体は業務に活かせる場面がほとんどありません。
仕事には役に立たないと割り切る必要がありますが、自分のお金の運用のため、税金の理解を深めたい場合などは取得をお薦めします。
リスキリングで自分の市場価値を高めよう
企業は存続することが最優先であり、あなた個人を守ってくれることはありません。
自由で多様な働き方ができる時代となった一方、責任は全て個人が負わなければならない状況になっています。
あなたを守れるのはあなただけです。
社会人としての市場価値を高めれば何も恐れる必要はありません。
リスキリングをフル活用してスキルアップを図りましょう。
最後に、本記事と併せてこちらの記事もご参考ください。
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